銀仕掛けの天球儀事件

銀仕掛けの天球儀事件 参

真っ暗な夜をモニターの明かりだけが照らす。遠くに見える大舞台の中は、ほんの数秒前とは打って変わって静かだ。目論見通り、そこに残りそのトリックを暴いた男が仰け反る姿が見える。「……よし、殺すなよ。周辺を整理するからその間時間だけ稼いでくれ」通…

銀仕掛けの天球儀事件 弐

「調子どう?」「バッチリ、って言ってあげたいんだけど」困ったように笑う男、壱川 遵(いちかわ じゅん)は「はいこれ」と言ってIDカードを差し出した。受け取りすぐに首にかけてから、水守が腕を組む。「アンタ下っ端だもんね。刑事になるのが遅過ぎたんじ…

銀仕掛けの天球儀事件 壱

これはとある探偵たちの、或いは怪盗たちの。彼彼女らの始まりを記した、プロローグになり得るひとつの小さな事件。 パソコンの画面に映るそれは、くるくると真ん中が回転して、意味なく思える運動をずっと続けていた。 模型のようにも見えるけど、それが模…